比較的限られた薬を長期間(2〜6週間)内服した後に発熱、赤い斑が出現します。経過中に、肝障害や腎障害を引き起こしたり、発熱、皮膚の症状、肝腎障害が再燃する場合があります。また、体内に潜伏しているヘルペスウイルスの再活性化を伴うことが特徴です。
原因となりやすい薬剤
抗けいれん薬(カルバマゼピン、フェノバルビタール、フェニトイン、ゾニサミド、ラモトリギン)、尿酸を下げる薬(アロプリノール)、サラゾスルファピリジン、ジアフェニルスルフォン、抗不整脈薬(メキシレチン)などです。
診断基準
(1) 概念
高熱と臓器障害を伴う薬疹で、医薬品中止後も遷延化する。多くの場合、発症後2〜3週間後にHHV-6の再活性化を生じる。
(2) 主要所見
@ 限られた医薬品投与後に遅発性に生じ、急速に拡大する紅斑
しばしば紅皮症に移行する。
A 原因医薬品中止後も2週間以上遷延する。
B 38℃以上の発熱。
C肝機能障害
D血液学的異常:a、b、cのうち1つ以上
a. 白血球増多(11,000/mm3以上)
b. 異型リンパ球の出現(5%以上)
c. 好酸球増多(1500/mm3以上)
Eリンパ節腫脹
FHHV-6の再活性化
典型DIHS :@〜F全て
非典型DIHS :@〜D全て、ただし4に関しては、その他の重篤な臓器障害を
もって代えることができる。
(3) 参考所見
1. 原因医薬品は、抗てんかん薬、ジアフェニルスルホン、サラゾスルファピリジン、
アロプリノール、ミノサイクリン、メキシレチンであることが多く、発症までの内服期
間は2〜6週が多い。
2. 皮疹は初期には紅斑丘疹型、多形紅斑型で、後に紅皮症に移行することがある。
顔面の浮腫、口囲の紅色丘疹、膿疱、小水疱、鱗屑は特徴的である。粘膜には発
赤、点状紫斑、軽度のびらんが見られることがある。
3. 臨床症状の再燃がしばしばみられる。
4. HHV-6の再活性化は、
@ ペア血清でHHV-6 IgG抗体価が4倍(2管)以上の上昇
A 血清(血漿)中のHHV-6 DNAの検出
B 末梢血単核球あるいは全血中の明らかなHHV-6 DNAの増加
のいずれかにより判断する。ペア血清は発症後14日以内と28日以降(21日以降
で可能な場合も多い)の2点で確認するのが確実である。
5. HHV-6以外に、サイトメガロウイルス、HHV-7、EBウイルスの再活性化も認めら
れる。
6. 多臓器障害として、腎障害、糖尿病、脳炎、肺炎、甲状腺炎、心筋炎も生じうる。